みけの物語カフェ

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0017「初恋前夜」

「初恋前夜(はつこいぜんや)」(2008/11/02)

 ありさは校門(こうもん)のところで里子(さとこ)を待(ま)っていた。この二人(ふたり)は気(き)が合(あ)うようで、学校(がっこう)ではいちばんの仲良(なかよ)しだった。でも、今日(きょう)は何(なん)だか、ありさの様子(ようす)がちょっといつもと違(ちが)うみたいだ。里子(さとこ)が来(く)ると、ありさは言(い)いにくそうに、
「あのね…。里(さと)ちゃんに頼(たの)みがあるんだけど…」
「なに? 何(なん)でも言(い)ってよ。でも、勉強(べんきょう)のことは無理(むり)だからね」
「佐藤君(さとうくん)のことなんだけど…」ありさは頬(ほお)を赤(あか)らめて、「付(つ)き合(あ)ってる子(こ)とか、いるのかな?」
「佐藤(さとう)? 良夫(よしお)のこと」里子(さとこ)は笑(わら)いながら、「いない、いない。いるわけないよ。だって、部活(ぶかつ)のないときは、いつも私(わたし)の家(いえ)に来(き)て暇(ひま)つぶししてるのよ」
「そおなんだ。里(さと)ちゃんは、佐藤君(さとうくん)のこと、どう思(おも)ってるの? 好(す)きとか…」
「えっ? 私(わたし)は…」里子(さとこ)は今(いま)まで良夫(よしお)のことをそんなふうに考(かんが)えたことはなかった。
「あいつとは幼稚園(ようちえん)のときからの幼(おさな)なじみで、好(す)きとかそういうのは…」
「じゃあ、いいよね。私(わたし)が好(す)きになっても」ありさは思(おも)わず言(い)ってしまった。
 里子(さとこ)は驚(おどろ)いた。良夫(よしお)のことをそんなふうに思(おも)っていたなんて。ありさは恥(は)ずかしそうに、
「ねえ、佐藤君(さとうくん)に、私(わたし)と付(つ)き合(あ)ってほしいって、伝(つた)えてくれない?」
 里子(さとこ)は胸(むね)が騒(さわ)いだ。何(なん)だか分(わ)からないけど、大切(たいせつ)なものを無(な)くしてしまうような、淋(さび)しい気持(きも)ちになった。だから、里子(さとこ)はこんなふうに答(こた)えてしまった。
「それは、無理(むり)よ。私(わたし)からは…、言(い)えないわ。ごめんね。ほんと、ごめん」
<つぶやき>この二人(ふたり)はこれからどうなるのでしょう? 親友(しんゆう)のままでいてほしいけど…。
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