「週末婚(しゅうまつこん)の憂鬱(ゆううつ)」(2008/11/16)
康雄(やすお)と香織(かおり)は三十代半(さんじゅうだいなか)ばで結婚(けっこん)し、いつの間(ま)にか結婚四年目(けっこんよねんめ)に突入(とつにゅう)していた。二人(ふたり)は平日(へいじつ)は別々(べつべつ)に生活(せいかつ)して、週末(しゅうまつ)だけ一緒(いっしょ)に暮(く)らす週末婚(しゅうまつこん)という生活(せいかつ)をしていた。仕事(しごと)の忙(いそが)しい二人(ふたり)にとって、それが一番(いちばん)いい選択(せんたく)だと思(おも)ったからだ。でも、四年(よねん)もたってみると…。
「ねえ、ここには仕事(しごと)を持(も)ち込(こ)まない約束(やくそく)でしょ」香織(かおり)はイライラしていた。
「仕方(しかた)ないだろ。急(いそ)ぎの仕事(しごと)で、月曜(げつよう)までに仕上(しあ)げないといけないんだから」
「あなた、先週(せんしゅう)も仕事(しごと)だって言(い)って来(こ)なかったじゃない!」
「あの時(とき)は…、いろいろあって大変(たいへん)だったんだよ」康雄(やすお)は目(め)を合(あ)わそうとしなかった。
「何(なに)よ、いろいろって。夜遅(よるおそ)くても、帰(かえ)ってこられるでしょ。私(わたし)、待(ま)ってたんだから!」
「ちゃんと、電話(でんわ)しただろ。君(きみ)だって、そういうこと、あったじゃないか。……。なあ、どうしたんだよ。そんなに怒(おこ)ることじゃないだろ」
「別(べつ)に、怒(おこ)ってなんかいないわよ。ただ、私(わたし)は…」
「仕事(しごと)、うまくいってないのか? だったら、もう辞(や)めちゃえよ。君(きみ)がいなくたって…」
「何(なん)で、どうして私(わたし)が辞(や)めなきゃいけないのよ。そんなこと言(い)わないで!」
「ごめん。言(い)い過(す)ぎた」康雄(やすお)は香織(かおり)を優(やさ)しく抱(だ)きしめた。その時(とき)、携帯(けいたい)が鳴(な)り出(だ)した。
康雄(やすお)は着信(ちゃくしん)を確認(かくにん)すると、急(きゅう)に顔色(かおいろ)を変(か)えて部屋(へや)を出(で)て行(い)った。そして、声(こえ)をひそめて電話(でんわ)の相手(あいて)に答(こた)えた。「週末(しゅうまつ)はダメだって……。いや、そうじゃなくて…」
<つぶやき>どんなに忙(いそが)しくても二人(ふたり)の時間(じかん)を大切(たいせつ)に。会話(かいわ)があれば心(こころ)は結(むす)ばれてます。
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