みけの物語カフェ

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0033「公園友達」

「公園友達(こうえんともだち)」(2008/11/18)

 明日香(あすか)は公園(こうえん)のベンチに座(すわ)り、ぼうっとしていた。そこへ犬(いぬ)を連(つ)れた男(おとこ)がやって来(き)て、
「こんにちは」と声(こえ)をかけた。でも彼女(かのじょ)が気(き)づかないので男(おとこ)は横(よこ)に座(すわ)り、「どうしたの?」
「あっ…、いやだ。山田(やまだ)さん、いつからいたんですか?」
 この二人(ふたり)は公園友達(こうえんともだち)だった。この公園(こうえん)で何度(なんど)か挨拶(あいさつ)を交(か)わすうち、仲良(なかよ)くなってしまったのだ。お互(たが)いどんな仕事(しごと)をしているか知(し)らないし、どこに住(す)んでいるのかも聞(き)くことはなかった。ただこの公園(こうえん)で会(あ)うだけの関係(かんけい)。でも、明日香(あすか)にとってはとても居心地(いごこち)のいい付(つ)き合(あ)いだった。山田(やまだ)には、なぜか心(こころ)のもやもやを何(なん)でも話(はな)せてしまうのだ。
「あのね」明日香(あすか)は笑(わら)いながら切(き)り出(だ)した。「彼(かれ)と、別(わか)れたの。もう、最悪(さいあく)。彼(かれ)ったら、他(ほか)の女(おんな)を私(わたし)の部屋(へや)に入(い)れたのよ。これまで何度(なんど)も浮気(うわき)して。私(わたし)、知(し)らないふりしてたけど、もう限界(げんかい)。彼(かれ)に、出(で)てけって言(い)っちゃった」
「そうですか。それは大変(たいへん)でしたね」山田(やまだ)は悲(かな)しげな顔(かお)をして、「大丈夫(だいじょうぶ)ですか?」
「うん、平気(へいき)よ。私(わたし)、こういうことにはなれてるの。だって、悲(かな)しくても涙(なみだ)なんか出(で)ないし…。あーあ、何(なん)で私(わたし)には変(へん)な男(おとこ)ばっかり寄(よ)ってくるんだろう」
「僕(ぼく)も変(へん)な男(おとこ)かもしれませんね。こうして、あなたの悩(なや)みごとを聞(き)いてるんだから」
「あっ、山田(やまだ)さんは違(ちが)いますから…」と明日香(あすか)は笑(わら)ったが、なぜか涙(なみだ)があふれてきた。
<つぶやき>辛(つら)い時(とき)、何(なん)でも話(はな)せる人(ひと)がいるといいですね。見(み)つけるのは大変(たいへん)ですけど…。
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