みけの物語カフェ

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0039「犯罪者撲滅キャンペーン」

「犯罪者撲滅(はんざいしゃぼくめつ)キャンペーン」(2008/11/24)

 ベッドに寝(ね)かされている男(おとこ)が目(め)を覚(さ)ました。男(おとこ)のそばには白衣(はくい)の女医(じょい)が立(た)っている。
「ここは…」男(おとこ)は辺(あた)りを見回(みまわ)して、「どうして、ここに…」
「ここは、総合病院(そうごうびょういん)です。山崎(やまざき)さんは、仕事先(しごとさき)で倒(たお)れて、ここに運(はこ)ばれたんですよ」
「えっ、何(なに)をしてたんだ。私(わたし)は…。ああっ、思(おも)い出(だ)せない。私(わたし)は、山崎(やまざき)なんですか?」
「山崎(やまざき)さんは、倒(たお)れたときに頭(あたま)を強(つよ)く打(う)ったので、記憶(きおく)に障害(しょうがい)が起(お)きたんだと思(おも)います」
「記憶(きおく)に障害(しょうがい)が…」男(おとこ)は包帯(ほうたい)の巻(ま)かれた頭(あたま)に手(て)をやった。
「大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。記憶(きおく)はちゃんと戻(もど)りますから。それより、奥(おく)さんがみえてますよ」
 女医(じょい)は病室(びょうしつ)の扉(とびら)を開(あ)けて、外(そと)で待(ま)っていた妻(つま)を招(まね)き入(い)れた。
「あなた」妻(つま)は男(おとこ)のそばに駆(か)け寄(よ)って、「よかった…。もう、心配(しんぱい)したんだから」
 女医(じょい)は病室(びょうしつ)を出(で)て隣(となり)の部屋(へや)に入(はい)った。そこで病室(びょうしつ)の様子(ようす)を見(み)ていた男(おとこ)がつぶやいた。
「迫真(はくしん)の演技(えんぎ)だな。いったい何処(どこ)から連(つ)れてきたのかね?」
「あれは人間(にんげん)ではありません。プログラム通(どお)りに反応(はんのう)しているだけです」
「そうなのか。でも、受刑者(じゅけいしゃ)の記憶(きおく)を消(け)して更生(こうせい)させるとは、驚(おどろ)いたよ。この計画(けいかく)がうまく行(い)けば、刑務所(けいむしょ)の経費(けいひ)を減(へ)らすことができるな。だが、記憶(きおく)が戻(もど)ることは無(な)いのかね」
「脳(のう)に埋(う)め込(こ)んだ装置(そうち)の保障期間(ほしょうきかん)は五十年(ごじゅうねん)です。彼(かれ)が生(い)きている間(あいだ)は問題(もんだい)ないでしょう」
<つぶやき>未来(みらい)の世界(せかい)では、こんなことになってるかもしれませんよ。怖(こわ)いですね…。
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