みけの物語カフェ

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0048「時をかけるねこ」

「時(とき)をかけるねこ」(2008/12/03)

 ある大学(だいがく)の研究室(けんきゅうしつ)にねこが出入(でい)りするようになった。学生(がくせい)たちも研究(けんきゅう)の合間(あいま)に世話(せわ)をしてとても可愛(かわい)がったので、いつの間(ま)にかそこに棲(す)み着(つ)きマスコットになってしまった。
 ――ある学生(がくせい)が古(ふる)い雑誌(ざっし)を見(み)つけてきた。そこには発明王(はつめいおう)エジソンの写真(しゃしん)が掲載(けいさい)されていて、彼(かれ)の横(よこ)にはねこが座(すわ)っていた。学生(がくせい)はそのねこを指(ゆび)さして、
「これを見(み)て。うちのねことそっくりじゃない。この毛(け)の模様(もよう)とか…」
「そうかなぁ。白黒写真(しろくろしゃしん)だし、似(に)てるだけじゃないのか?」
「だって、この首輪(くびわ)についてる丸(まる)い鈴(すず)のような飾(かざ)り。これは絶対同(ぜったいおな)じものよ」
 そこに別(べつ)の学生(がくせい)が来(き)て、「おい、今日(きょう)の新聞見(しんぶんみ)たか? ここにうちのねこが載(の)ってるよ」
 学生(がくせい)たちは集(あつ)まってきて新聞(しんぶん)を取(と)り囲(かこ)んだ。それはエジプトで見(み)つかった遺跡(いせき)の写真(しゃしん)で、奇麗(きれい)な壁画(へきが)にねこが描(えが)かれていた。学生(がくせい)たちにどよめきが走(はし)った。
「ほら、見(み)てよ。これも首輪(くびわ)に同(おな)じ飾(かざ)りがついてるわ」
「どういうことだよ、これは…。同(おな)じねこなんてあり得(え)ないだろ。もしそうだったら…」
「そんな、長生(ながい)きのねこなんているわけないだろ」
「まさか、時空(じくう)を移動(いどう)してるとか…。時(とき)をかけるねこだったりして」
 学生(がくせい)たちは、窓際(まどぎわ)で気持(きも)ちよさそうにひなたぼっこをしているねこに目(め)をやった。
<つぶやき>私(わたし)も、こんなことが出来(でき)たらいいのになぁ…。ああ、羨(うらや)ましいかぎりです。
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