「おとり捜査(そうさ)」(2008/12/06)
「あの、何(なん)で今回(こんかい)も私(わたし)なんですか?」京子(きょうこ)は不満(ふまん)そうな顔(かお)でつぶやいた。
「お前(まえ)、男装(だんそう)も似合(にあ)うじゃないか。これは新(あたら)しい発見(はっけん)だなぁ」
「なに感心(かんしん)してるんですか。先輩(せんぱい)がやって下(くだ)さいよ。その方(ほう)が…」
「なに言(い)ってるんだ。今回(こんかい)の捜査(そうさ)はな、今(いま)までとは違(ちが)うんだ。ふふふふ、心配(しんぱい)すんな。俺(おれ)がちゃんと張(は)り付(つ)いてやるから、大丈夫(だいじょうぶ)だ」
「それがいちばん心配(しんぱい)なんですけど。前回(ぜんかい)だって、全然(ぜんぜん)助(たす)けてくれなかったじゃないですか。私(わたし)、危(あぶ)なかったんですから…」
「たかがケツ触(さわ)られただけじゃねえか。そんなのはな、危険(きけん)のうちに入(はい)らねえよ。いいか、今回(こんかい)の相手(あいて)は、小心者(しょうしんもの)のこそ泥(どろ)だ。そいつがどういうわけか、宝石泥棒(ほうせきどろぼう)のブツを盗(ぬす)みやがった。時価数十億(じかすうじゅうおく)という代物(しろもの)だ」
「宝石(ほうせき)を盗(ぬす)んだんですか?」京子(きょうこ)の目(め)が輝(かがや)いた。
「そうだよ。きっと、どこかに隠(かく)しているはずなんだ。それを聞(き)き出(だ)すんだ」
「でも、どうやって?」
「そんなこと、自分(じぶん)で考(かんが)えろよ。そいつは男好(おとこず)きだから、近(ちか)づくのはわけないさ」
「男好(おとこず)きって…。私(わたし)は、女(おんな)です! それじゃ…、また、危険(きけん)じゃないですかぁ」
<つぶやき>こんな相棒(あいぼう)と一緒(いっしょ)だととても大変(たいへん)かもしれません。がんばれ、京子(きょうこ)ちゃん!
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