みけの物語カフェ

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0054「妖怪樹」

「妖怪樹(ようかいじゅ)」(2008/12/09)

 森(もり)に囲(かこ)まれた小(ちい)さな庵(いおり)。ここには風変(ふうが)わりな占(うらな)い師(し)が住(す)んでいた。仕事(しごと)に行(ゆ)き詰(づ)まった男(おとこ)が、この場所(ばしょ)に引(ひ)きつけられるようにやって来(き)た。
「ほんとうに、こんなことで仕事(しごと)がうまくいくんですか?」
「これはヤルキの種(たね)です。これを身体(からだ)に付(つ)ければ勢力(せいりょく)がみなぎり、仕事(しごと)で成功(せいこう)すること間違(まちが)いなし。ただし、使用期間(しようきかん)は半年間(はんとしかん)です。半年後(はんとしご)には、必(かなら)ずはずしに来(き)て下(くだ)さい」
 占(うらな)い師(し)は男(おとこ)の腕(うで)に種(たね)を押(お)しつけた。すると、種(たね)はホクロのように腕(うで)に張(は)り付(つ)き取(と)れなくなった。男(おとこ)はこの日(ひ)を境(さかい)に、精力的(せいりょくてき)に仕事(しごと)をこなすようになった。成果(せいか)はみるみる上(あ)がり、平社員(ひらしゃいん)から部長(ぶちょう)へと異例(いれい)の昇進(しょうしん)をとげてしまった。
 半年(はんとし)たったある日(ひ)、男(おとこ)のもとに一通(いっつう)のはがきが舞(ま)い込(こ)んだ。それはあの占(うらな)い師(し)からの警告(けいこく)の手紙(てがみ)で、種(たね)をはずしに来(く)るようにと書(か)かれていた。男(おとこ)は気(き)にもとめずに、ゴミ箱(ばこ)に投(な)げ捨(す)てた。男(おとこ)は金(かね)も地位(ちい)も手(て)に入(い)れて、有頂天(うちょうてん)になっていたのだ。
 数日後(すうじつご)、男(おとこ)は身体(からだ)に異変(いへん)を感(かん)じた。頭(あたま)の上(うえ)に小(ちい)さなこぶが突(つ)き出(で)て、それが日(ひ)に日(ひ)に大(おお)きくなっているようなのだ。男(おとこ)は慌(あわ)てて、あの占(うらな)い師(し)の庵(いおり)を訪(おとず)れた。
「警告(けいこく)したはずですよ」占(うらな)い師(し)はそう言(い)うと、「まあ、多少不便(たしょうふべん)なことはあるかもしれませんが、寿命(じゅみょう)も数百年(すうひゃくねん)は延(の)びましたし、この森(もり)にはお仲間(なかま)も大勢(おおぜい)いますから安心(あんしん)して下(くだ)さい」
 男(おとこ)は頭(あたま)がむずがゆくなってきたので手(て)をやると、そこには小(ちい)さな芽(め)が出始(ではじ)めていた。
<つぶやき>あまり欲張(よくば)りすぎるのはやめましょう。ほどほどが、ちょうどいいかも…。
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