みけの物語カフェ

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0056「逃亡者」

「逃亡者(とうぼうしゃ)」(2008/12/11)

 耕助(こうすけ)は夜中(よなか)の二時(にじ)に玄関(げんかん)のチャイムの音(おと)で目(め)を覚(さ)ました。「誰(だれ)だよ、こんな時間(じかん)に…」
「俺(おれ)だよ、一平(いっぺい)」外(そと)から声(こえ)がして、「開(あ)けてくれよ」一平(いっぺい)とは大学(だいがく)からの親友(しんゆう)だった。
 耕助(こうすけ)が扉(とびら)を開(あ)けると、「頼(たの)む。かくまってくれ」一平(いっぺい)は急(いそ)いで扉(とびら)を閉(し)めて鍵(かぎ)をかけた。
「どうしたんだよ。何(なに)かあったのか?」
「それが…、ばれたんだ。あいつに見(み)つかっちゃて…」
「えっ? 何(なん)の話(はな)しだよ」
「愛子(あいこ)だよ。愛子(あいこ)にへそくりが見(み)つかって、それで逃(に)げてきたんだ」
「おい、マジかよ。何(なん)でそんなバカなことしたんだよ」
「俺(おれ)だって、遊(あそ)ぶ金(かね)くらい…。それに、買(か)いたい物(もの)もあったんだ」
「それ、まずいよ。悪(わる)いが、出(で)てってくれないか」
「おい、親友(しんゆう)を見捨(みす)てるのか? 頼(たの)むよ、お前(まえ)のとこしか…」
「だからだよ。愛子(あいこ)さん、絶対(ぜったい)ここに来(く)るから。俺(おれ)まで、巻(ま)き込(こ)むなよ」
 その時(とき)、電話(でんわ)が鳴(な)り出(だ)した。二人(ふたり)は背筋(せすじ)に冷(つめ)たいものが走(はし)り、ぶるっと震(ふる)えた。
「きっと、愛子(あいこ)だ。いないって言(い)ってくれ。俺(おれ)は、来(き)てないって…」
「そんなこと言(い)って、後(あと)でばれたら…」
 今度(こんど)は、玄関(げんかん)のチャイムが何度(なんど)も押(お)されて、扉(とびら)がドンドンと叩(たた)かれた。そして、
「こんばんは。遅(おそ)くにすいません。うちの夫(ひと)、来(き)てませんか?」
<つぶやき>隠(かく)しごと、してませんか? もしかすると、もうばれてるかもしれませんよ。
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