みけの物語カフェ

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0057「山の神様」

「山(やま)の神様(かみさま)」(2008/12/12)

 私(わたし)は三年(さんねん)ぶりに娘(むすめ)を連(つ)れて実家(じっか)へ帰郷(ききょう)した。――私(わたし)の故郷(ふるさと)は山(やま)の中(なか)にある小(ちい)さな村(むら)で、今(いま)でも昔(むかし)ながらの生活(せいかつ)が残(のこ)っていた。私(わたし)はまだ幼(おさな)い娘(むすめ)に、この自然(しぜん)の中(なか)での生活(せいかつ)を味(あじ)あわせてあげたかったのだ。私(わたし)の子供(こども)の頃(ころ)のように…。
「ねえ、大(おお)きな木(き)の下(した)に、変(へん)な子(こ)がいたよ」娘(むすめ)は畑(はたけ)から帰(かえ)ってくると、私(わたし)に報告(ほうこく)した。
「山(やま)の神様(かみさま)が挨拶(あいさつ)に来(き)たんだね」八十路(やそじ)を越(こ)えた祖母(そぼ)が、笑(わら)いながら娘(むすめ)の頭(あたま)をなでた。
 山(やま)の神様(かみさま)。そういえば、私(わたし)も子供(こども)の頃(ころ)に…。近所(きんじょ)の子(こ)たちと遊(あそ)んでいると、知(し)らない子(こ)がいて…。それに気(き)がつくと、いつの間(ま)にか消(き)えてしまう。そんなことが何度(なんど)かあったような…。そんな、子供(こども)の頃(ころ)の不思議(ふしぎ)な思(おも)い出(で)が残(のこ)っていた。
「明日(あした)もね、また、行(い)ってもいい?」娘(むすめ)は嬉(うれ)しそうに、「遊(あそ)ぼって、約束(やくそく)したの」
「そう。じゃあ、ママと一緒(いっしょ)に行(い)こうか」
「うん。一緒(いっしょ)に行(い)こうね」娘(むすめ)はそう言(い)うと、家(いえ)の中(なか)に駆(か)け込(こ)んでいった。
「昔(むかし)は、子供(こども)も大勢(おおぜい)いて賑(にぎ)やかだったけど…」祖母(そぼ)は農具(のうぐ)を洗(あら)いながら、「神様(かみさま)も遊(あそ)び相手(あいて)がいないから、淋(さび)しいんだろうね」とぽつりとつぶやいた。
 たしかに、この村(むら)も過疎化(かそか)で人(ひと)が減(へ)っていた。ふっと、私(わたし)の中(なか)に淋(さび)しさがこみ上(あ)げてきた。よし、明日(あした)は娘(むすめ)と一緒(いっしょ)に、山(やま)の神様(かみさま)と思(おも)う存分(ぞんぶん)遊(あそ)んであげよう。私(わたし)はそう決(き)めた。でも、私(わたし)に姿(すがた)を見(み)せてくれるかな。子供(こども)の頃(ころ)のように――。
<つぶやき>子供(こども)の頃(ころ)の純真(じゅんしん)な心(こころ)を思(おも)い出(だ)してみましょ。世界(せかい)が変(か)わるかもしれません。
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