「大掃除(おおそうじ)」(2008/12/20)
年末(ねんまつ)の休日(きゅうじつ)。私(わたし)は部屋(へや)の大掃除(おおそうじ)にとりかかった。ずぼらな私(わたし)にとっては、一大決心(いちだいけっしん)だった。今年(ことし)は仕事(しごと)もうまくいかず、付(つ)き合(あ)っていた彼(かれ)にはふられて…。さんざんな年(とし)だったから、来年(らいねん)こそはと気分(きぶん)を新(あら)たにしたかったのだ。
押(お)し入(い)れに入(はい)っているものを全部(ぜんぶ)引(ひ)っぱり出(だ)しみて驚(おどろ)いた。こんなにいろんなものが詰(つ)め込(こ)んであったんだ。もう忘(わす)れてしまった思(おも)い出(で)もびっくり箱(ばこ)のように飛(と)び出(だ)してきた。
ほこりをかぶったせんべいの箱(はこ)。そこには子供(こども)の頃(ころ)のへたな字(じ)で、<だいじなもの>と書(か)かれていた。蓋(ふた)を開(あ)けてみると、懐(なつ)かしいものがいっぱい入(はい)っていた。ひとつずつ手(て)にとって…。あの頃(ころ)の楽(たの)しかった思(おも)い出(で)や、いろんなことが泉(いずみ)のようにわいてきた。
きらきら輝(かがや)くスーパーボール。ここに入(はい)ってたんだ。これをくれた男(おとこ)の子(こ)。名前(なまえ)…、なんだったかな…。同級生(どうきゅうせい)の子(こ)だったけど、あんまり遊(あそ)んだ記憶(きおく)がない。でも、これをもらったときのことは憶(おぼ)えている。<これを持(も)ってると、良(い)いことがあるんだぞ>そう言(い)って、突然(とつぜん)渡(わた)されて…。あっ、たしかその子(こ)、転校(てんこう)したんだ。今(いま)、どうしてるのかな?
私(わたし)はスーパーボールを陽(ひ)にかざしてみた。ちょっと汚(よご)れてしまっているけど、今(いま)でもきらきら輝(かがや)いている。私(わたし)は、なんだか嬉(うれ)しくなった。これを持(も)ってると、きっと良(い)いことがありそうな、そんな気(き)がした。私(わたし)って、ほんと単純(たんじゅん)なんだから…。
<つぶやき>大掃除(おおそうじ)は大発見(だいはっけん)のチャンス。でも、早(はや)くやっつけないと年(とし)を越(こ)しちゃうよ。
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