「パワースーツ」(2008/12/21)
とある研究所(けんきゅうじょ)。ここで世(よ)にも恐(おそ)ろしい実験(じっけん)が行(おこな)われようとしていた。
「立花君(たちばなくん)。とうとう完成(かんせい)したぞ」等々力博士(とどろきはかせ)は助手(じょしゅ)にスーツを手渡(てわた)した。
「先生(せんせい)…」助手(じょしゅ)は尻込(しりご)みしながら、「これは、まさか…」
「わしが開発(かいはつ)したパワースーツだ。これを着(き)ると超能力(ちょうのうりょく)が使(つか)えるようになるんだ」
博士(はかせ)が手渡(てわた)したのは、どう見(み)ても普通(ふつう)の背広(せびろ)にしか見(み)えなかった。
「いいから、着(き)たまえ。これからテストを始(はじ)めるぞ」
「先生(せんせい)、僕(ぼく)が実験台(じっけんだい)になるんですか?」
「当(あ)たり前(まえ)じゃないか。君(きみ)は私(わたし)の片腕(かたうで)なんだぞ」
「でも…。電気(でんき)がビリビリっとか、気分(きぶん)が悪(わる)くなったりとか、そんなことに…」
「立花君(たちばなくん)、何(なに)を言(い)ってるんだね。そのための実験(じっけん)じゃないか。安全性(あんぜんせい)を確認(かくにん)するんだ」
「そうなんですけど…。この前(まえ)のときだって、もう少(すこ)しで命(いのち)を落(お)とすところ――」
「君(きみ)は大(おお)げさだな。ちょっとした配線(はいせん)のミスじゃないか。たいしたことじゃない」
助手(じょしゅ)は気(き)が進(すす)まなかったが、仕方(しかた)なく背広(せびろ)を着(き)ることにした。博士(はかせ)はリモコンのスイッチを入(い)れて、「どうだね? 何(なに)か、こう、変化(へんか)は感(かん)じられないか?」
突然(とつぜん)、洋服掛(ようふくか)けに掛(か)けてあったパワースーツが火花(ひばな)を散(ち)らして燃(も)えあがった。それを見(み)た博士(はかせ)は驚(おどろ)いた様子(ようす)もまったくなく、一人(ひとり)でうなずくと呟(つぶや)いた。
「なるほど…。これはちょっとした配線(はいせん)のミスだ。立花君(たちばなくん)、次(つぎ)は完璧(かんぺき)なものにするぞ」
<つぶやき>実験(じっけん)は、成功(せいこう)しそうにありませんよね。立花君(たちばなくん)には、転職(てんしょく)を勧(すす)めたいです。
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