みけの物語カフェ

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1518「友だちなくしそう」

「友(とも)だちなくしそう」(2025/04/26)

 キャンパス内(ない)のベンチに座(すわ)って、前(まえ)を通(とお)り過(す)ぎていく学生(がくせい)たちを見(み)ていた。そこに、友(とも)だちがやって来(き)た。何(なん)やかやと無駄話(むだばなし)をしていると、友(とも)だちが急(きゅう)に話題(わだい)を変(か)えて、
「なあ、あれ見(み)ろよ。あの娘(こ)…」友(とも)だちが指(ゆび)を差(さ)して呟(つぶや)いた。「めちゃタイプやわぁ」
 僕(ぼく)は、友(とも)だちが指(ゆび)を差(さ)した方(ほう)を見(み)た。そして、思(おも)わず声(こえ)をあげてしまった。友(とも)だちは僕(ぼく)の肩(かた)をつかんで言(い)った。
「お前(まえ)、彼女(かのじょ)、知(し)ってるのか? どこの学部(がくぶ)だ? 紹介(しょうかい)しろよ」
 僕(ぼく)は返事(へんじ)に困(こま)った。その娘(こ)、この間(あいだ)、僕(ぼく)に告白(こくはく)してきた娘(こ)なのだ。まだちゃんと返事(へんじ)をしていない。まさか、こんなことになるなんて…。ここは、正直(しょうじき)に話(はな)した方(ほう)がいいのか、それとも友(とも)だちに譲(ゆず)るべきなのか? でも、彼女(かのじょ)の方(ほう)にしてみれば、どうなんだ?
 ここは、知(し)らないことにしといた方(ほう)がよさそうだ。友(とも)だちは、声(こえ)をかけた方(ほう)がいいか僕(ぼく)に訊(き)いてくる。この機会(きかい)を逃(のが)すと、また会(あ)える保証(ほしょう)はないからだ。そんなこと、僕(ぼく)に訊(き)かれても答(こた)えられないだろ。ここは、早(はや)くこの場(ば)を離(はな)れたほうがよさそうだ。
 ここにきて、彼女(かのじょ)が…。どうやら僕(ぼく)に気(き)づいてしまったようだ。こっちを見(み)てにっこりと微笑(ほほえ)みかけてくる。そして、こっちへ歩(ある)き出(だ)した。友(とも)だちを見(み)ると…。こっちもそわそわしはじめている。なに勘違(かんちが)いしてるんだよ。お前(まえ)じゃなくて――。僕(ぼく)は決断(けつだん)に迫(せま)られることになった。でも、今(いま)のこいつに話(はな)しても耳(みみ)に入(はい)らないんじゃないのか?
<つぶやき>こいつ、そんなにモテる男(おとこ)なんですか? なんか、腹立(はらた)つんですけどねぇ。
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