みけの物語カフェ

いろんなお話を公開しています。お暇なときにでも…。

0069「夢の約束」

「夢(ゆめ)の約束(やくそく)」(2008/12/24)

 綾乃(あやの)は変(へん)な夢(ゆめ)をみて目(め)が覚(さ)めた。見知(みし)らぬ男性(だんせい)とキスをする夢(ゆめ)。キスと言(い)っても事故(じこ)のようなもので、男性(だんせい)とぶつかって倒(たお)れた拍子(ひょうし)に唇(くちびる)が触(ふ)れただけのこと。でも、その時(とき)のどきどき感(かん)が目(め)が覚(さ)めても残(のこ)っていた。綾乃(あやの)はたまに予知夢(よちむ)をみることがあったので、その日(ひ)は落(お)ち着(つ)かない一日(いちにち)になってしまった。人(ひと)とぶつからないように細心(さいしん)の注意(ちゅうい)を払(はら)い、職場(しょくば)から真(ま)っ直(す)ぐに家(いえ)に帰(かえ)った。家(いえ)に着(つ)いたときには、ほとほと疲(つか)れ果(は)ててしまった。
 次(つぎ)の朝(あさ)、綾乃(あやの)はまた夢(ゆめ)をみて目(め)が覚(さ)めた。昨日(きのう)と同(おな)じ男性(だんせい)が出(で)てきて、なぜかとても仲良(なかよ)くなっていた。どこかの喫茶店(きっさてん)でお茶(ちゃ)をしながら、次(つぎ)のデートの約束(やくそく)をしていたのだ。綾乃(あやの)はこれは夢(ゆめ)なんだと、何度(なんど)も自分(じぶん)に言(い)いきかせた。
 ――今日(きょう)も何(なに)ごともなく過(す)ぎていった。人(ひと)とぶつかることもなかったし、「きっと、あれはただの夢(ゆめ)だったのよ」と、ほっと胸(むね)をなで下(お)ろした。
 職場(しょくば)からの帰(かえ)り道(みち)。駅(えき)に着(つ)いたとき、ふっと夢(ゆめ)でした約束(やくそく)のことを思(おも)い出(だ)した。
 <駅(えき)の壁画前(へきがまえ)。午後六時(ごごろくじ)>。綾乃(あやの)は足(あし)を止(と)めた。駅(えき)の壁画前(へきがまえ)に立(た)っていたのだ。駅(えき)にある大時計(おおどけい)を見(み)ると、ちょうど午後六時(ごごろくじ)。「まさか…」綾乃(あやの)は心(こころ)の中(なか)でつぶやいて、辺(あた)りを見(み)まわしてみた。でも、夢(ゆめ)に出(で)てきた男性(だんせい)は見当(みあ)たらなかった。ほっとして歩(ある)き出(だ)したとき、後(うし)ろから肩(かた)を叩(たた)かれた。綾乃(あやの)が驚(おどろ)いて振(ふ)り返(かえ)ると、そこにはあの男性(だんせい)が…。
<つぶやき>夢(ゆめ)と現実(げんじつ)の境界(きょうかい)が曖昧(あいまい)になったとき、不思議(ふしぎ)なことが起(お)こるかもしれません。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。