みけの物語カフェ

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0075「もうひとりの自分1」

「もうひとりの自分(じぶん)1」(2009/02/12)

 さおりは初(はじ)めて行(い)った町(まち)で、古風(こふう)なアンティークの店(みせ)を見(み)つけた。何(なに)かに引(ひ)きよせられるように店内(てんない)に入(はい)ってみると、きれいに装飾(そうしょく)された小(ちい)さな手鏡(てかがみ)が目(め)に止(と)まった。
「わぁ、すてき…」さおりは思(おも)わずつぶやいた。
 それを見(み)ていた店主(てんしゅ)の老婦人(ろうふじん)は優(やさ)しく微笑(ほほえ)み、「どうぞ。手(て)にとってよく見(み)て」
 さおりは手鏡(てかがみ)を手(て)に取(と)ると、恐(おそ)る恐(おそ)る値段(ねだん)を聞(き)いてみた。年代物(ねんだいもの)の鏡(かがみ)のようで、高貴(こうき)な人(ひと)が使(つか)っていたに違(ちが)いないと思(おも)ったからだ。さおりは今(いま)まで物欲(ぶつよく)というものを感(かん)じたことはなかった。でも、これだけはどうしても手(て)に入(い)れたいという衝動(しょうどう)を抑(おさ)えきれなかった。
「今月(こんげつ)の給料日(きゅうりょうび)までは節約生活(せつやくせいかつ)ね」さおりは家(いえ)に帰(かえ)るとつぶやいた。でも、後悔(こうかい)はなかった。大切(たいせつ)に持(も)って帰(かえ)ってきた手鏡(てかがみ)を箱(はこ)から出(だ)し、自分(じぶん)の顔(かお)を鏡(かがみ)に映(うつ)してみる。不思議(ふしぎ)と他(ほか)の鏡(かがみ)よりも自分(じぶん)の顔(かお)がきれいに見(み)えた。何(なん)だか嬉(うれ)しくなって笑(え)みがこぼれた。
 そのとき、突然(とつぜん)、鏡(かがみ)から閃光(せんこう)が走(はし)った。さおりはまぶしくて目(め)を塞(ふさ)いだ。一瞬(いっしゅん)のことで、何(なに)がどうしたのか…。目(め)を開(あ)けてみると、目(め)の前(まえ)に女(おんな)が座(すわ)っていた。さおりは飛(と)び上(あ)がった。あまりのことに言葉(ことば)も出(で)ない。それに、その女(おんな)は双子(ふたご)のように自分(じぶん)とそっくりなのだ。
 その女(おんな)は立(た)ちあがり背伸(せの)びをすると、嬉(うれ)しそうにつぶやいた。「やっぱり、外(そと)はいいわ」
「あなた、だれ?」さおりは何(なん)とか言葉(ことば)を絞(しぼ)りだした。女(おんな)はさおりの手(て)を取(と)ると、
「わたしは、あなたよ。あなたは、わたし」そう言(い)って女(おんな)は微笑(ほほえ)んだ。
 さおりは混乱(こんらん)していた。何(なに)が起(お)きているのか分(わ)からず、不安(ふあん)な気持(きも)ちで一杯(いっぱい)になった。
<つぶやき>さおりはどうなちゃうの? この話(はなし)の続(つづ)きは…。次(つぎ)の機会(きかい)に。乞(こ)うご期待(きたい)?