みけの物語カフェ

いろんなお話を公開しています。お暇なときにでも…。

0077「もうひとりの自分3」

「もうひとりの自分(じぶん)3」(2009/02/16)

 神谷(かみや)という男(おとこ)は社内(しゃない)きってのイケメンで、女子社員(じょししゃいん)だれもが少(すこ)しでも近(ちか)づこうとしのぎを削(けず)っていた。さおりもあこがれていたが、自分(じぶん)とはつり合(あ)わないと最初(さいしょ)からあきらめていた。遠(とお)くから眺(なが)めているだけで、さおりはそれで充分満足(じゅうぶんまんぞく)していたのだ。
 でも、今日(きょう)はいつものさおりとは違(ちが)っていた。出社(しゅっしゃ)するなり女子社員(じょししゃいん)たちを押(お)しのけて、
「ねえ、今夜八時(こんやはちじ)。国際(こくさい)ホテルの摩天楼(まてんろう)に来(き)て。待(ま)ってるから」
 神谷(かみや)をはじめ、周(まわ)りにいた女子社員(じょししゃいん)たちはあっけにとられた。さおりがこんなことを言(い)うなんて、誰(だれ)も想像(そうぞう)すらしていなかった。でも、いちばん驚(おどろ)いていたのはさおりだった。自分(じぶん)の意思(いし)とは関係(かんけい)なく、勝手(かって)に足(あし)が動(うご)き、勝手(かって)に言葉(ことば)が口(くち)からあふれ出(で)てしまったのだ。
 さおりは顔(かお)を真(ま)っ赤(か)にしてトイレに駆(か)け込(こ)んで叫(さけ)んだ。「なにしてるのよ!」
「彼(かれ)、きっと来(く)るわよ」もうひとりの自分(じぶん)が姿(すがた)を現(あらわ)し嬉(うれ)しそうに言(い)った。「楽(たの)しみだわぁ」
「もう…、余計(よけい)なことしないでよ。どうするのよ。わたし…」
「心配(しんぱい)ないって。わたしが助(たす)けてあげるから。まずは、その服(ふく)ね。もっとドレスアップしなくちゃ。仕事(しごと)が終(お)わったら速攻(そっこう)で買(か)いに行(い)くわよ」
 服選(ふくえら)びは大変(たいへん)だった。鏡(かがみ)を隠(かく)さないともうひとりの自分(じぶん)が出(で)てこられないから。服(ふく)を選(えら)んでいるあいだ、さおりは楽(たの)しくなってきている自分(じぶん)に驚(おどろ)いた。最初(さいしょ)は嫌々(いやいや)だったのに…。
<つぶやき>もうひとりの自分(じぶん)に振(ふ)りまわされてるさおり。まだ、お話(はなし)は続(つづ)いちゃいます。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。