みけの物語カフェ

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0100「家族会議のひとこま」

「家族(かぞく)会議(かいぎ)のひとこま」(2011/07/20)

 斉藤家(さいとうけ)の家族会議(かぞくかいぎ)は紛糾(ふんきゅう)を極(きわ)めていた。それぞれの思惑(おもわく)が交錯(こうさく)し、妥協点(だきょうてん)を見出(みいだ)すことができなかった。ことの発端(ほったん)は、智宏(ともひろ)のひと言(こと)。「家(いえ)を建(た)て替(か)えるぞ!」
 智宏(ともひろ)は家族(かぞく)に何(なん)の相談(そうだん)もなく、家(いえ)の間取図(まどりず)を見(み)せ、
「どうだ。これが新(あたら)しい我(わ)が家(や)だ」
 そういう状況(じょうきょう)で家族(かぞく)が納得(なっとく)するはずもなく、まず妻(つま)が苦言(くげん)を呈(てい)した。
「ねえ、どうしてキッチンの広(ひろ)さが変(か)わらないのよ。これじゃ、建(た)て替(か)える意味(いみ)ないでしょ」
 子供(こども)たちからも不満(ふまん)が飛(と)び出(だ)した。「ねえ、あたし一人(ひとり)の部屋(へや)がいい。弟(おとうと)と一緒(いっしょ)なんて」
「僕(ぼく)だって、お姉(ねえ)ちゃんと一緒(いっしょ)じゃイヤだよ。落(お)ち着(つ)いて勉強(べんきょう)できないもん」
「仕方(しかた)ないだろ」智宏(ともひろ)は父親(ちちおや)の威厳(いげん)をもって言(い)った。「土地(とち)の広(ひろ)さは同(おな)じなんだから」
 間取図(まどりず)をじっと見(み)ていた妻(つま)が言(い)った。「ねえ、この部屋(へや)は何(なに)よ。ずいぶん広(ひろ)いわね」
「ああ、これか」智宏(ともひろ)はにっこり笑(わら)い、「俺(おれ)のコレクションルームさ。これだけあれば…」
「ちょっと、待(ま)ってよ」妻(つま)はすかさず言(い)った。「これは、ダメでしょ」
 娘(むすめ)も加(くわ)わって、「そうよ。もう、変(へん)なものを持(も)ち込(こ)まないで」
「これは、必要(ひつよう)でしょう」智宏(ともひろ)は反論(はんろん)した。「そのための、建(た)て替(か)えなんだから」
 家族(かぞく)は冷(ひや)ややかな目線(めせん)を向(む)けた。その時(とき)、妻(つま)の父(ちち)が乱入(らんにゅう)してきた。
「家(いえ)を建(た)てるんだって」父(ちち)は間取図(まどりず)を見(み)て、「どれが、わしの部屋(へや)なんだ?」
「お父(とう)さん!」妻(つま)はあきれて、「いくら新(あたら)しいのが好(す)きだからって、自分(じぶん)の家(いえ)があるでしょ」
<つぶやき>家(いえ)を建(た)てることは、一大事業(いちだいじぎょう)なんです。家族(かぞく)との話(はな)し合(あ)いは大切(たいせつ)ですよね。
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