「ひも好(ず)き」(2025/05/17)
「あたしの彼氏(かれし)、ひも男(おとこ)なの」ゆかりは友(とも)だちに平然(へいぜん)と言(い)ってしまう女(おんな)。彼女(かのじょ)のことをよく知(し)らない友(とも)だちは絶対(ぜったい)にひいてしまうだろう。でも、腐(くさ)れ縁(えん)で付(つ)き合(あ)いの長(なが)いなつみはあっさりと聞(き)き流(なが)す。ゆかりはダメな男(おとこ)に惚(ほ)れてしまう傾向(けいこう)があるからだ。でも、しょせん一週間(いっしゅうかん)も続(つづ)かない。
だが、今度(こんど)の男(おとこ)は今(いま)までとは違(ちが)うようだ。初(はじ)めて紹介(しょうかい)されたとき、なかなかのイケメンでなつみも思(おも)わず見入(みい)ってしまった。なつみは思(おも)った。こいつ、ただ者(もの)じゃない。究極(きゅうきょく)のひも男(おとこ)に違(ちが)いない。このままほっといたら、ゆかりは食(く)い尽(つ)くされてしまうだろう。
なつみは、なんとか別(わか)れさせる方法(ほうほう)はないかと考(かんが)えた。別(べつ)にゆかりとは仲(なか)がいいってわけでもないけど、長(なが)い付(つ)き合(あ)いで知(し)らん顔(かお)もできない。問題(もんだい)なのは、ゆかりがひも好(ず)きなことだ。これを説得(せっとく)するのは難(むずか)しい。
では、男(おとこ)の方(ほう)はというと…。究極(きゅうきょく)だけあって、悪意(あくい)というものがまったくないクズ野郎(やろう)だ。数日(すうじつ)かけて探(さぐ)ってみたが何(なに)も出(で)てこない。他(ほか)に女(おんな)がいるわけでもなく、ギャンブルとかいかがわしい遊(あそ)びもしていない。でも、仕事(しごと)をしていないニート野郎(やろう)だ。彼女(かのじょ)の部屋(へや)に転(ころ)がり込(こ)んで、小遣(こづか)いをねだる寄生男(きせいおとこ)。さらに調査(ちょうさ)を進(すす)めたが、ゆかりに出会(であ)う前(まえ)のことが分(わ)からない。どこかからこの街(まち)へ流(なが)れて来(き)たに違(ちが)いない。
なつみが行(い)き詰(づ)まっているとき、ゆかりから連絡(れんらく)がきた。会(あ)いに行(い)くと、ゆかりは泣(な)きながら訴(うった)えた。「彼(かれ)がいなくなっちゃったの。なんでこんなことに…」
<つぶやき>彼(かれ)は次(つぎ)の寄生先(きせいさき)へと、本能(ほんのう)のおもむくままに旅立(たびだ)ったのでしょう。おしまい。
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